見栄で個人再生を選んではいけない
個人再生を選ぶ人の中には、なんとなく自己破産をするのが嫌だからという人が結構います。弁護士からすれば、全くこの人はわかっていないという気持ちになるようです。
また、このような人は、債権者からすればどっちでも同じ話だと言われてしまうと思います。
自己破産は借金を踏み倒す行為であり、破産者という響きにはとても見下された意味がこめられています。
約束を破って借りたお金を返せないのですから、そう思われても仕方ありませんし、どれだけキレイな言葉を使っても、借金を踏み倒す行為であることには変わりはないと思います。
人として、破産者となることはとても嫌なことです。
ところが、個人再生の場合には、ただ債務整理をした人という印象だと思います。
実際に、個人再生を利用して弁済を終えた人の中には、貸金業者に対して、自分はしっかりと完済したんだから再融資をしてくれと言ってくることもあります。
個人再生を利用する人すらその程度の認識なので、世間の認識も同じようなものだと思います。
しかし、個人再生は債務の2割を分割して弁済すれば、残りの8割の債務を免除されるというもので、大半の借金を踏み倒す制度なのです。
貸金業者からすれば、自己破産でも個人再生でも、借金を踏み倒されることに変わりはなく、どちらでも同じなのです。自分の財産を投げ出さずに借金を踏み倒す個人再生のほうが、性質が悪い制度だという人もいるぐらいです。
また、弁護士にしてみれば、自己破産と比べて個人再生はとても手間隙がかかります。
それに、止む終えない事情で多重債務者になってしまった人は別ですが、自業自得で多重債務者になってしまった人の場合には、個人再生での弁済途中でつまづく可能性が高く、結局は自己破産をすることが多いのです。
どうせそうなるなら、初めから自己破産を選択しておいたほうが良いと、弁護士が考えるのもわかります。