Y田さんの債務整理物語(10)自宅が守れる個人再生
■2通りの個人再生
個人再生は民事再生の個人版で、マイホームを手放すことなく債務整理ができるという方法です。
「小規模個人再生手続き」と「給与生活者等再生手続き」という二つの方法があります。
中でも今回Y田さん夫婦が利用することになったのが「小規模個人再生手続き」という方法です。
「小規模個人再生」は以下の2点を満たす必要があります。
1.継続して収入を得られる見込みがあること
2.住宅ローンなど担保権が付いた債務をのぞいた総額が5000万円以下であること
Y田さんの場合は、就職先が決まっていないものの毎月アルバイトをしていますから、継続した収入が得られると見込まれます。
また消費者金融からの借金総額も5000万円以下なので小規模個人再生が利用できることになります。
■借金は1/5まで減額されます(但し最低100万円まで)
小規模個人再生をすると、借金は1/5か100万円まで減額してもらうことができます。
たとえば、600万円の借金がある場合には、120万円まで減らすことができます。
Y田さんの場合は債務を1/5にした場合、100万円を下回るため個人再生をすると消費者金融からの借金総額が100万円まで下げてもらうことができるのです。
これを3年かけて返済していく計画になるので1ヶ月の返済額は3万円となり、大幅に返済額が減るため毎月の返済がかなり楽になります。
■家を守るために必要な「住宅資金特別条項」
更にマイホームを守るため、個人再生手続きの再生計画案の中に「住宅資金特別条項」が盛り込まれました。
これにより、住宅資金の債権者(銀行)は抵当権(競売)の実行ができなくなります。
返済の条件も楽になり、月々の返済額を減額したり、期間の延長ができるようになります。
ただし、住宅ローンの元本はカットされません。
返済期間が長くなってしまえば、金利も増えます。
マイホームを手放さないためには、多少仕方のないことと言えるでしょう。